色と香り・・・視覚と嗅覚は一見関わりのない感覚のように思われます。しかし色は香りを、香りは色を私たちに強く連想させます。
現代作家による香炉や香立てなど香りを演出するうつわの数々や、古来より西洋で用いられていた香水瓶、それら作品の中には青い色を用いて創り出されたものが数多くあります。
色の中でも空にあこがれた人類にとって、青はまさに夢みる色でありましょう。空の青。それは、実際には光の散乱反射によって感じた色だといいます。
そして、現実には自然界の中で青い色をしたモノはほとんど存在しないというのですから、より一層、人は青に魅せられるのではないでしょうか。
さて、キャンバス一面に踊るような輝きを放つ青を彩ったのは゛色彩の魔術師"と言われたシャガールです。彼独特の青だけでなく赤や緑の色彩と、そこに描かれた世界はまさに夢のようであり、中でも青色は彼の魂の色といえましょう。
特に、彼が生涯をかけて描き続けたモチーフのひとつであるサーカスは、幼い頃、故郷で魅了された世界であり、彼が繰り返しモチーフとした馬や牛・鳥などの動物や、愛の象徴として描かれた花束が登場しています。それは彼のキャンバスに広がる幻想的な世界の原点でありましょう。
今回は、こうしたシャガールのリトグラフ「サーカス」の中から、青い色で彩られた作品を、現代作家作品の香りのうつわや西洋の香水瓶と併せてご紹介します。青の香りと色彩の世界をお楽しみください。 |